深夜、湖畔の宿で目が覚めて、窓を開けて湖を見た。
ひっそりと静まり返った暗い湖。湖岸沿いの明かりを映すも、中程は暗く沈んでいた。ボートであそこに浮かんで寝そべってみたらどんなだろう。波もなく風もない、ひんやりとした、この世とは思えぬ静けさの中に浮かんでみたい。真夜中の湖に、ボートで静かに漕ぎだすところを夢に見た。 「ねじまき鳥クロニクル」で井戸の底に浮かんだ主人公を思い出した。狭く深い井戸の底は私にとっては恐怖であり、想像するだけでぞくぞくしてしまうのだが、湖の中程に浮くことは、とても自然なことのように思えた。 ここに井戸があり、その底に今こうして僕が浮かんでいるというのは、とても自然なことのように思えた。これまでそのことに気がつかなかったことの方がむしろ驚きだ。それは世界のあらゆる井戸のひとつであり、僕は世界のあらゆる僕の一人だった。 (「ねじまき鳥クロニクル 第2部予言する鳥編」村上春樹著 より) 実際のところ、湖は完全に静まり返っているわけではなく、昼間と同じように、時折チャポン、ピチャッと魚が湖面を跳ねる音がする。生きている音である。そんな暗闇に浮かぶのはなんと幸せなことだろう… *********** 取りあえず松原湖レポートはこのへんで。(随分ひっぱったなー) まだまだ、花とか木肌とか食べた物とか、ご紹介したいのですが もう秋だし。。。 松原湖は、もっと観光地化されてちゃらちゃらしているのかと思っておりましたが、お土産屋さんなどもなく(ちょっと残念)静かで快適でした。もっとも8月の末ということで、シーズンを過ぎていたからかもしれません。混んでいる場所が苦手な私にはぴったりです。シーズンオフの女です。 夏のボート遊び、学生たちの合宿、紅葉狩り、冬のワカサギ釣りの季節には、にぎわいをみせると思われます。大正、昭和の文人に愛された古い旅館が閉じてしまっていたりで、がっかりと心配もありますが、昔から続く御柱祭など、その文化とともにこれからもずっと変わらずに続いてほしいと思いました。混みすぎず、しかも継続してほしい。勝手ですけどね。 きっとまた訪れるでありましょう。
by corurico
| 2010-09-23 15:07
| 旅
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